羽村市で移動に困ったら?|9.91km²のコンパクトシティで変わる週末の移動事情と、救急救命士が支える在宅の安心
羽村市は、東京都多摩地域の最西端に位置する面積約9.91km²の市です。
多摩26市の中でも最小クラスのこの街は、JR羽村駅・小作駅の2駅から半径2km圏内に市役所・商業施設・医療機関が集まり、本来は「平坦で歩きやすい、移動に優しい街」でした。
しかし、2026年4月1日からコミュニティバス「はむらん」が平日運行のみとなり、土日祝・年末年始は運休となりました。
週末の通院や家族行事のために「はむらん」を当てにしていた高齢者世帯にとって、移動の選択肢が一段狭くなった瞬間です。
私がこの羽村市を記事で取り上げるのは、個人的な距離感もあります。
日の出町で「介護タクシーはばたき」を運営している私の拠点からは、山を回り込んだ先に羽村市があり、約10kmの距離です。
同じ西多摩の中でも、日の出町の山あいの景色から一変して、羽村市に入った瞬間に平坦な市街地が広がる——その地理的な違いを、毎回のご依頼のたびに感じています。
はじめまして。介護タクシーはばたき代表の仲田泰明と申します。
消防署の救急隊員として19年間、10,000件以上の救急搬送に携わってきた元救急隊員で、現在は救急救命士として「介護救命士」を名乗り、地域の移動支援を行っています。
この記事では、羽村市で使える福祉有償運送「ふれあいキャリー」、タクシー・ガソリン費用助成、コミュニティバス「はむらん」、そして救急隊員時代に何度も助けられた救急医療情報キットなど、在宅での移動と見守りを支える制度を、現場の視点で整理してお伝えします。
1.羽村市の移動支援制度(4つの柱)
羽村市の移動支援は、現金助成制度(ガソリン費・タクシー費)、福祉有償運送(ふれあいキャリー)、コミュニティバス(はむらん)の4つが柱になっています。それぞれを順に見ていきます。
1-1. 障害者(児)自動車ガソリン費用助成事業
家族が所有・運転する車のガソリン代を、市が半期ごとに助成する制度です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 身体障害者手帳2級以上(下肢・体幹・内部機能障害は3級以上)/愛の手帳2度以上/脳性麻痺・進行性筋萎縮症 |
| 対象車両 | 本人所有の車、または同居親族が所有する車(対象者のために使用したもの) |
| 助成額 | 半期15,000円(年間最大30,000円) |
| 所得制限 | 特別障害者手当の所得制限限度額に準拠 |
| 所得制限 | 特別障害者手当の所得制限限度額に準拠 |
| 申請・請求 | |
| 注意 | 毎年4月・10月の各10日までに、領収書を添付して障害福祉課へ請求 |
「家族が運転する車のガソリン代にも使える」のが大きなポイントです。
ご家族が車で病院まで送る、買い物に連れていく——こうした日常の支えに、現金助成としてあてることができます。
1-2. 障害者(児)タクシー費用助成事業
こちらは、タクシーを利用した際の領収書をもとに、半期ごとに現金が振り込まれる制度です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 身体障害者手帳1・2級(下肢・体幹・内部障害は3級以上)/愛の手帳1・2度/脳性麻痺・進行性筋萎縮症 |
| 助成額 | 半期15,000円(年間最大30,000円) |
| 必要書類 | タクシー費用の領収書、印鑑、手帳 |
| 申請 | タクシー費用の領収書、印鑑、手帳 |
| 支給方法 | 指定口座への振込 |
1-3. ふれあいキャリー(福祉有償運送)
運営は社会福祉法人 羽村市社会福祉協議会。羽村市の移動支援の中でも、地域密着型の送迎サービスとして重要な位置を占めています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 羽村市在住+社協個人会員+単独移動困難+(身障手帳所持 または 要支援・要介護認定) |
| 利用目的 | 通院、市や社会福祉団体主催の行事参加、買い物・墓参り等の市民生活上の外出 |
| 運行範囲 | 通院、市や社会福祉団体主催の行事参加、買い物・墓参り等の市民生活上の外出 |
| 運行日 | 羽村市内+近隣6市町(青梅・福生・武蔵村山・あきる野・瑞穂・日の出) |
| 利用費 | |
| 予約 | 利用日の2日前まで/週2往復まで/042-554-0380 |
| 当日キャンセル | 350円 |
「12月29日〜1月3日を除く毎日運行」というのは、後述する「はむらん」と大きく異なる点です。
土日祝日も動いているため、週末の通院や家族行事の移動に使えます。
ただし、対象者が福祉制度の枠内に限られており、2日前までの予約が必須という制約があります。
1-4. コミュニティバス「はむらん」(2026年4月から平日運行のみ)
羽村市が西東京バスに運行委託している、市民向けのコミュニティバスです。4コースで市内を巡回しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 運賃 | 大人・子ども同額 1乗車100円、未就学児無料 |
| 回数券 | 11枚綴り1,000円 |
| 支払方法 | 現金/PASMO・Suica等の交通系ICカード/回数券 |
| シルバーパス | 利用不可 |
| 障害者割引 | 設定なし |
| 車椅子 | スロープで乗車可 |
コース構成:
| コース名 | 1日の便数 |
|---|---|
| 羽村東コース | 10便 |
| 羽村西コース | 11便 |
| 小作コース | 11便 |
| 羽村中央コース | 7便 |
羽村駅・小作駅・羽村市役所では、当日1回のみ他のコースへの無料乗り継ぎができます。
★注意:2026年4月1日から「平日運行のみ」に変更
羽村市公式HPの案内には、次のように明記されています。
令和8年4月1日から平日運行のみとなりました。土曜日・日曜日・祝日・年末年始は運行しません。
これまで休日も運行していたはむらんは、2026年4月以降は平日のみとなりました。
週末の通院や買い物、家族イベントのためにはむらんを頼りにしていた方は、代替手段の確認が必要です。
この「週末の移動空白」については、次章で具体的な選択肢を整理します。
2.制度の使い分けガイド——二つの連動ルールと週末の移動空白
羽村市の移動支援を使いこなすうえで、読者が見落としやすい2つの連動ルールと週末の移動空白への対応を押さえておく必要があります。
2-1. ガソリン費助成とタクシー費助成は「二者択一」
ガソリン費用助成事業の要綱第2条第2項には、次のような規定があります。
当該障害者(児)が羽村市障害者(児)タクシー費用助成事業実施要綱に基づくタクシー費用の助成を受けている場合は、対象者としない。
つまり、ガソリン費助成とタクシー費助成は併給不可。どちらか片方しか受けられません。
選び方の目安:
| ご家庭の状況 | 選ぶべき制度 |
|---|---|
| 家族が運転する車がある/本人が運転できる | ガソリン費助成(半期15,000円 |
| 車がない/運転できる家族がいない/タクシー主体 | タクシー費助成(半期15,000円) |
2-2. ふれあいキャリーに登録すると、助成が「半額」になる
もう一つの重要なルール。ふれあいキャリー案内パンフレットの2ページ目には、こう書かれています。
利用会員登録をした場合、羽村市障害者(児)自動車ガソリン費もしくはタクシー費の助成限度額が半額になります。
ガソリン費助成の要綱第7条第2項でも、福祉有償運送事業(ふれあいキャリー)を利用している場合の助成額は「前項に規定する額の2分の1」と規定されています。
つまり、ふれあいキャリーに登録すると、ガソリン費助成・タクシー費助成の上限が半期15,000円から7,500円に下がるということ。
ふれあいキャリーの利用費自体は格安ですが、現金助成との合算で考えると、制度選択は慎重に行う必要があります。
| 選択 | 年間の現金助成上限 | ふれあいキャリー利用 |
|---|---|---|
| ガソリン費助成のみ | 30,000円 | 非登録 |
| タクシー費助成のみ | 30,000円 | 非登録 |
| ガソリン費助成+ふれあいキャリー登録 | 15,000円 | 可(利用費は格安) |
| タクシー費助成+ふれあいキャリー登録 | 15,000円 | 可(利用費は格安) |
「ふれあいキャリーで通院、それ以外はガソリン費助成で家族送迎」という組み合わせを選ぶ方は、助成額が半分になることを承知のうえで決めることが大切です。
2-3. 週末の移動空白——はむらん平日化後の選択肢
2026年4月からはむらんが平日のみとなったことで、土日祝・年末年始の移動手段は次のように整理されます。
| 手段 | 週末運行 | 対象 | 使いやすさ |
|---|---|---|---|
| はむらん | ×運休 | 全員 | — |
| ふれあいキャリー | ○(12/29〜1/3除く毎日) | 手帳所持 or 要支援・要介護認定者 | 2日前予約必須 |
| 一般タクシー・UDタクシー | ○(24時間) | 全員 | 当日呼べるが料金自己負担 |
| 介護タクシー(民間) | ○ | 全員(医療的配慮が必要な方も対応) | 事前予約推奨、付き添い可 |
手帳や介護保険認定を持っていない軽度な高齢者にとって、週末の移動選択肢は実質的に一般タクシーまたは介護タクシーのみとなります。
土日しか時間を取れないご家族にとっては、この構造変化の影響は大きいと言えます。
3. 実際のご依頼例:公立福生病院から西多摩病院への転院搬送
ここから、羽村市で経験した搬送事例を、個人が特定されない形でお伝えします。
この1件は、民間救急・介護タクシーの存在意義を最も端的に示すケースだったと感じているため、少し詳しく紹介させてください。
3-1. ご依頼の背景——酸素2L継続投与での「病院間移動」
ご依頼は、公立福生病院から西多摩病院への搬送でした。
対象は80代の男性。酸素2L継続投与を必要とし、リクライニング車椅子での搬送希望というお話です。
公立福生病院は福生市、西多摩病院は青梅市。
いずれも羽村市からほど近く、ふれあいキャリーの運行範囲に入る距離感ですが、この方の状態は、ふれあいキャリーや一般タクシーでは対応できるものではありませんでした。
3-2. 現場での判断——重症状態の確認
当日、病棟でご本人を拝見したとき、率直に「これは想定以上の状態だ」と感じました。
-
意識レベルはJCS 200程度(痛み刺激でわずかに反応する状態)
-
マーゲンチューブ(経鼻胃管)が留置されていた
-
尿道バルーンカテーテルも挿入されていた
-
血流が不安定なためか、SpO2(経皮的酸素飽和度)の値が表示されたり消えたりを繰り返す
病態としては明らかに「重症」の範疇。救急車での搬送が妥当に思える状態像です。しかし、この搬送は救急車では実施できない性質のものでした。
3-3. 「治療ではなく、人生の最後に向かっての移動」
ご家族(奥様)とお話しして理解したのは、今回の移動の目的が「治療」ではないということでした。
急性期の治療はすでに一段落しており、これから先どこでどう過ごすか——人生の最後に向かっての生活の選択肢として、療養環境を変えるという移動。
治療目的ではないため、救急車を要請する筋合いのものではありません。
公立福生病院の病棟で、病棟看護師にご協力いただきながら、ご本人をベッドからリクライニング車椅子にゆっくりと移動させました。
当社が準備した酸素ボンベに切り替え、流量を2Lに合わせて継続投与。奥様と一緒に車両までお連れしました。
出発直前、パルスオキシメーターでSpO2を改めて測定。
値は90%台前半を時折示すものの、やはり消失する場面もある不安定な状態でした。
ただ、顔色は決して悪くない。
数値上のぶれはありましたが、末梢循環を視覚で確認する限り、酸素化は数値以上に保たれている——というのが、私の臨床的な読みでした。
3-4. 搬送中の観察と引き継ぎ
出発から西多摩病院到着までの間、奥様に車内でのご本人の様子——呼吸の深さ、胸の動き、顔色——を伺いながら、バックミラー越しに常にご本人の状態を観察し続けました。
数値だけに頼らず、顔色・呼吸パターン・口唇色など、救急隊員時代から染みついた「視覚での臨床判断」を活かしながらの走行です。
西多摩病院に到着後、迎えの看護師に対して、「酸素は2Lで継続投与中です。
SpO2は不安定ですが、90%台前半をキープしており、顔色は良好に保たれています」と申し送り。
酸素投与を継続したまま、病棟へお引き継ぎしました。
3-5. 結びの洞察——「救急車では運べない、ヘルパーでは不安」
病院からの帰り道、車内で奥様とお話ししていて、深く考えさせられた言葉がありました。
「救急車で運ぶような状態ではないと言われた。でも、一般のタクシーや普通のヘルパーさんの事業所ではとても頼めないと思った」
この一言に、民間救急・介護タクシーが地域に必要な理由が凝縮されていると感じました。
治療目的でない以上、救急車は呼べない。
かといって、酸素を継続投与しながら、SpO2が不安定な方を、一般のタクシーで運ぶことはできない。
医療的な判断が必要な搬送を、医療従事者ではない事業者に任せるのは不安——この声こそ、私が「介護救命士」として動いている理由です。
救急救命士の資格と19年の救急現場経験を持ち、酸素投与や吸引処置に対応でき、状態の変化を臨床的に読める人間が運転席にいる。
そのことが、ご家族が「安心して任せられる」ための一番の条件なのだと、この搬送で改めて実感しました。
4.ふれあいキャリーと介護タクシーはばたきの住み分け
羽村市でご相談をいただく際、よく聞かれるのが「ふれあいキャリーと介護タクシーはどう違うのか」という質問です。
どちらも「人を乗せて運ぶ」サービスですが、性格は大きく異なります。
ふれあいキャリーが対応できない場面(私が現場で感じていること):
-
急な利用に対応できない。利用日の2日前までに予約が必要なため、「今日急に通院が必要になった」「退院日が前倒しになった」という依頼には応えられません。
-
エリアが固定。青梅市・福生市・武蔵村山市・あきる野市・瑞穂町・日の出町の6市町までが限界で、昭島市・立川市・八王子市などへの移動には使えません。専門医のいる病院が都心寄りにある場合、ふれあいキャリーでは届かない。
-
対応範囲は玄関先まで。自宅内でのベッドからの移乗介助は対象外で、階段の多い住宅や、玄関まで出るのが難しい方には限界があります。
-
医療的配慮が必要な方は運びにくい。運行中に医療措置が必要と見込まれる場合は運行中止となる規定があり、酸素投与中・SpO2不安定・喀痰吸引が必要などの状態には本質的に対応できない設計です。
介護タクシーはばたきは、これらのすべての場面で「選択肢のもう一枚」として機能します。
当日や早朝・夜間の依頼、昭島・立川・都心方面までの移動、自宅ベッドサイドからの介助付き搬送、酸素・吸引等の医療処置中の搬送など、ふれあいキャリーがカバーしない領域が、民間の介護タクシーの役割です。
「平日の近距離・定期通院はふれあいキャリー、週末や急ぎ・遠距離・医療的配慮が必要な場面は介護タクシー」——これが、コストと安全性を両立する使い分けの基本形だと私は考えています。
5. 救急救命士が語る、羽村市の在宅見守り基盤
移動支援とは別に、羽村市には在宅高齢者を守るための見守り制度が整備されています。
これらは私が救急隊員として現場で何度も関わってきた、非常に実践的な仕組みです。
介護タクシーを使うご家族にとっても、「外出中に親を一人にしておく不安」を減らす基盤となります。
5-1. 救急医療情報キット——救急隊時代に何度も助かった
羽村市の救急医療情報キット配布事業は、平成23年に始まった制度で、ひとり暮らし高齢者等を対象に、次のセットを無償で配布しています。
-
保管容器
-
医療等情報用紙(氏名・生年月日・かかりつけ医・持病・服薬・緊急連絡先を記入)
-
保管者ステッカー
この制度について、救急隊時代の経験から申し上げたいことがあります。
救急出場の現場で、対応に最も時間を要するのが、「この方は誰に電話すればいいのか」「どの病院にかかっているのか」「何の薬を飲んでいるのか」が分からないケースです。
ひとり暮らしの高齢者で意識障害がある方、失神してしまった方、うまく会話ができない方——こうした方のご自宅で、救急隊員は家中を探してお薬手帳や保険証を見つけなければならないことがあります。
救急医療情報キットは、この課題を一気に解決します。キットは冷蔵庫に保管するのが全国共通の運用で、玄関に貼られたステッカーを見た救急隊員は、まず冷蔵庫を開けます。
そこにかかりつけ医療機関・持病・服薬・緊急連絡先の情報がすべて揃っている——これだけで、搬送先決定や家族への連絡が数分単位で早まるのです。
救急隊時代、このキットに何度も助けられました。特に「かかりつけ医療機関が把握できたおかげで、その病院に直接収容要請できた」というケースは何度もありました。
かかりつけ病院なら過去のカルテがあるため、初見の病院よりも医師の判断が速い。結果として、搬送先の決定から治療開始までの時間が大きく短縮されるわけです。
羽村市でもこのキットは配布されていますので、対象になるご家族がいらっしゃれば、ぜひ市の福祉部門にお問い合わせを。
対象は、羽村市友愛訪問員が訪問する世帯、羽村市高齢者救急直接通報システム事業の利用者、その他市長が必要と認める方です。
5-2. 高齢者救急直接通報システム vs 代理通報システム——使い分けの考え方
羽村市は、ひとり暮らし高齢者向けに2種類の緊急通報システムを整備しています。
| 項目 | 直接通報システム | 代理通報システム |
|---|---|---|
| 根拠 | 昭和61年創設(羽民健発第9798号) | 平成28年創設(羽福高発第8306号) |
| 通報先 | 東京消防庁(直接) | 民間受信センター(警備業認定事業者) |
| ルート | 福生消防署経由で市と連携 | 受信後に派遣員が現場へ向かい、必要に応じ119番要請 |
| メリット | 119番ルートで救急隊が即応 | 誤発報が救急車出動につながらない/派遣員が先行到着 |
| デメリット | 誤発報でも救急車が出動する | 現場到着まで消防より時間がかかる場合がある |
| 対象 | 市内65歳以上ひとり暮らし高齢者等で身体上慢性疾患あり | 同左 |
| 自己負担 | 機器費等の1割(非課税世帯・生活保護は免除) | 市長が定める額の1割(同上) |
| 併用 | 代理通報との併用不可 | 直接通報との併用不可 |
救急救命士としての視点で、使い分けの目安をお伝えします:
- 直接通報が向くケース:すでに心臓疾患や呼吸器疾患で定期通院しており、発作時の119番が現実的に必要とわかっている方。
発報=救急車というシンプルな仕組みが、緊急時の迷いを減らしてくれます。
- 代理通報が向くケース:転倒などで動けなくなるリスクはあるが、意識レベルは保たれていることが多い方。
「とりあえず誰かに来てほしい」段階で派遣員が先行確認してくれるため、誤発報による救急車出動を避けられます。
どちらを選ぶかは、ご本人の持病と生活パターンから判断するのがよいでしょう。迷った場合は、地域包括支援センターに相談するのが近道です。
5-3. 徘徊高齢者探索サービス——発見までの時間が命を守る
認知症で徘徊行動のある方を在宅介護しているご家族向けの制度が、徘徊高齢者探索サービス事業です。
平成13年に創設され、次の4つのサービスで構成されています。
-
位置情報サービス:市が契約した民間事業者が位置情報システムで現在位置を探索(ペースメーカー装着者は対象外)
-
保護支援サービス:介護者を位置情報の場所まで送り届け、捜索・保護に協力
-
保護代行サービス:事業者が捜索・保護を代行し、自宅まで送り届ける
-
見守りシール:発見した第三者がシールの符号を携帯で読み取ると、Webシステム上の情報確認と介護者への通知が行われる
費用: 位置情報サービスは初回登録料および月額利用料の1割(生活保護受給者は免除)。保護支援・保護代行サービスは全額自己負担。
救急救命士として付け加えたいのは、「発見までの時間こそが命を守る」という一点です。
徘徊行動のある認知症高齢者は、屋外で見つかったときすでに脱水・低体温・転倒・交通事故等のリスクにさらされています。
夏の炎天下で数時間経過していれば熱中症、冬の屋外で長時間経過していれば低体温症——どちらも救命に直結する状況です。
位置情報サービスで発見時間を30分、1時間、2時間と短縮できれば、その分だけ重症化を防げる可能性が高まります。
これは救急現場で「搬送時の脱水の重症度」を何度も目の当たりにした者としての、実感を込めた助言です。
6. 介護保険と民間サービスの使い分け(要点のみ)
介護保険タクシー(通院等乗降介助)は、要介護1〜5の認定を受けており、ケアプランに組み込まれた通院・公的手続き目的に限り使えます。
退院・転院・ストレッチャー対応・入所者の外出付き添い・冠婚葬祭などは、自費の介護タクシーが選択肢になります。
詳しくは→ 介護保険で介護タクシーは使える?利用条件と注意点
7. 救急車を呼ぶべきか迷ったとき(要点のみ)
意識がない・呼吸が苦しい・突然の激しい頭痛・胸痛・大量出血——こうした一刻を争う症状は、迷わず119番を。
緊急性はないものの一般タクシーでの移動が難しい場合(退院・転院・酸素投与継続中の通院など)は、医療従事者が運営する介護タクシー・民間救急が選択肢になります。
東京都では#7119(救急安心センター東京、24時間対応)で相談することもできます。
詳しくは→ 救急車を呼ぶべき?民間救急・介護タクシーとの違い
8. まとめ:羽村市の移動資源を組み合わせる
| 状況 | 活用できる手段 |
|---|---|
| 家族が運転する車のガソリン代を補助したい | ガソリン費用助成(半期15,000円) |
| タクシー利用が多い障害のある方 | タクシー費用助成(半期15,000円) |
| タクシー利用が多い障害のある方 | タクシー費用助成(半期15,000円) |
| 定期的な通院・買い物・墓参り(平日・近隣6市町) | ふれあいキャリー(対象者限定・2日前予約) |
| 平日の市内短距離移動 | はむらん(1乗車100円・4コース) |
| 週末の通院・家族行事(2026年4月以降) | ふれあいキャリー/一般タクシー/介護タクシー |
| ひとり暮らし高齢者の緊急対応 | 救急直接通報または代理通報システム |
| 救急出場時に情報がすぐ伝わるようにしたい | 救急医療情報キット(冷蔵庫保管) |
| 認知症徘徊への備え | 徘徊高齢者探索サービス |
| 退院・転院・酸素継続・ストレッチャーが必要な搬送 | 医療従事者運営の介護タクシー・民間救急 |
| 施設入所中の通院付き添い | 自費介護タクシー(付き添い業務対応) |
羽村市は面積9.91km²の小さな市ですが、移動支援・見守り・救急通報の制度は多層的に整備されています。
一方で、ふれあいキャリーは対象者限定かつ2日前予約必須、はむらんは2026年4月から平日のみ、ガソリン費助成とタクシー費助成は二者択一、ふれあいキャリー登録で助成額は半額——こうした制約と連動ルールを把握したうえで、ご自身やご家族の生活パターンに合った組み合わせを選ぶことが肝心です。
私自身、日の出町から山を回り込んだ約10kmの距離にある羽村市へ、これまで何度もお伺いしてきました。
公立福生病院から西多摩病院への搬送で感じたように、「救急車では運べない、一般のヘルパーでは不安」という境界の領域こそ、救急救命士が運営する介護タクシーの出番です。
迷うことがあれば、まずは市の障害福祉課(042-555-1111)や、担当のケアマネジャー、地域包括支援センターにご相談いただくことをお勧めします。
そのうえで、民間の介護タクシーが選択肢に入ってきたときは、はばたきにもお声がけください。
介護タクシーはばたき
東京都西多摩郡日の出町/代表:仲田泰明(救急救命士・元救急隊員19年、10,000件超の救急搬送経験)
転院・退院搬送、施設への外出付き添い、酸素投与中の通院送迎など、お気軽にご相談ください。
酸素投与・吸引処置対応、医療従事者の目で状態を確認しながら搬送します。
参考文献・参考サイト
羽村市の制度関連(公式HP)
関係法令(要綱)
- 羽村市障害者(児)自動車ガソリン費用助成事業実施要綱(昭和63年2月4日羽民福発第8137号、令和4年1月31日最終改正)
※テキスト版が市の関係法令集に収録
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羽村市高齢者救急直接通報システム事業実施要綱(昭和61年3月6日羽民健発第9798号、令和4年1月31日最終改正)
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羽村市高齢者救急代理通報システム事業運営要綱(平成28年9月6日羽福高発第8306号、令和4年1月31日最終改正)
-
羽村市救急医療情報キット配布事業実施要綱(平成23年5月30日羽福高発第2734号、令和4年1月31日最終改正)
-
羽村市徘徊高齢者探索サービス事業実施要綱(平成13年3月30日羽福高発第13027号、令和4年3月31日最終改正)
社会福祉協議会関連
- ふれあいキャリー利用のご案内(羽村市社会福祉協議会 福祉有償運送事業/令和3年10月改正版パンフレット)
予約専用電話:042-554-0380/事務局:042-555-7445
人口・福祉政策の背景
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第六次羽村市地域福祉計画(令和6年3月策定、計画期間:令和6年度〜令和11年度)
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羽村市都市計画マスタープラン(平成20年3月策定、目標年次:平成40年=2028年)
※ 上記のうち、ガソリン費助成・救急通報・救急医療情報キット・徘徊探索サービスの各要綱は、羽村市関係法令集に収録されています。最新の改正状況や助成額の詳細は、羽村市障害福祉課(電話042-555-1111)および羽村市社会福祉協議会にご確認ください。