立川市で移動に困ったら?|救急救命士が教える、転院搬送・タクシー助成・くるりんバスの使い分け

立川市は、多摩地域で最も大きな繁華街を持つ都市です。JR立川駅を中心に商業施設が集積し、電車・多摩都市モノレール・タクシーと移動手段が豊富に揃っています。

しかし同時に、駅から離れたエリアはベッドタウンとしての顔を持ち、路線バスの減便が急速に進む地域もあります。

富士見町の崖線上では「ここ数年で急激にバスが減った」という声があがり、錦町では「バスがなくなって通院にタクシーを使うようになった」という現実があります。

移動手段が整っているように見えて、一歩駅から離れると選択肢が急に狭まる——これが立川市の移動事情の実像です。

この記事では、立川市の公的支援制度(タクシー助成・移動支援事業)、地域交通(くるりんバス)、そして私自身が立川市内で経験した搬送事例を交えながら、移動に困ったときの選択肢を整理します。

立川市は全体的に平坦な地形で自転車移動が便利である一方、近年は全国的な運転手不足を背景に路線バスの減便が急激に進んでいる地域(富士見町などの崖線上など)もあり、移動手段を持たないことで不安を感じるご家族が増えています。

はじめまして。東京都日の出町で「介護タクシーはばたき」を運営している、代表の仲田と申します。

消防署の救急隊として長年、立川市内を含む多摩地域の救急搬送に従事してきました。その経験を活かし、現在は「介護救命士」として移動支援を行っています。

1. 立川市の障害者向け公的支援

タクシー・ガソリン費助成事業

重度の障害のある方を対象に、タクシー料金またはガソリン費を毎月助成する制度です。

対象者:

  • 身体障害者手帳1・2級

  • 身体障害者手帳3級(下肢・体幹・内部障害のいずれかが単独で3級の方)

  • 愛の手帳1・2度

助成額(世帯の市民税所得割額で決まります):

身体障害者手帳1・2級または愛の手帳1・2度の方:

世帯生計中心者の市民税所得割額 月額助成額
100,600円以下 3,500円
100,601〜268,200円 2,000円
268,201円以上 対象外

身体障害者手帳3級(下肢・体幹・内部障害単独)の方:

市民税所得割額 月額助成額
36,100円以下 3,500円
36,101円以上 対象外

申請先: 市役所1階 障害福祉課(平日8:30〜17:00)、郵送申請も可

介護保険施設・障害者支援施設・市外グループホームに入所中の方は対象外です。

移動支援事業

屋外での移動が困難な在宅の障害者・障害児が、社会生活上必要な外出をする際に、ヘルパーが同行支援する制度です(令和7年4月改正版に基づく)。

対象者: 視覚障害のある方、肢体不自由1・2級で外出に車椅子を必要とする方、知的障害者、精神障害者、発達障害者、障害児、難病(車椅子使用)

月間の利用時間上限(30分単位):

対象 通常月 8月のみ
小学生 5時間 30時間
中学・高校生、18歳年度末まで 20時間 40時間
知的・精神・発達障害(18歳以上) 25時間 —
視覚障害者 50時間 —
その他 10時間 —

料金: 個別支援型は30分1,150円。自己負担は原則10%(生活保護・非課税世帯は無料)。

偶数月に利用時間が余った場合、翌月への繰り越しが可能です。冠婚葬祭(1回8時間まで)や市の主催事業への出席には時間加算の仕組みもあります。

心身障害者手当(立川市独自制度)

立川市在住の心身障害者に、市独自の手当が支給されます。

月額 対象
6,000円 身体障害者手帳1・2級、愛の手帳1〜3度、脳性麻痺、進行性筋萎縮症
4,500円 身体障害者手帳3・4級、愛の手帳4度

年3回(4月・8月・12月)に前月分までをまとめて振り込み。所得制限あり。

2.立川市の地域交通(くるりんバスと減便の現実)

コミュニティバス「くるりんバス」

立川市内の路線バスを補完するコミュニティバスで、病院・スーパー・公共施設への日常的なアクセスを支えています。

  • 運賃: 大人180円(障害者手帳所持者は半額の90円)

  • ルート: 北・南・西西・西東・砂川・錦の6ルート

  • 西砂町・錦町周辺などの路線バス空白エリアに対応

砂川ルートでは30分に1便に増便され利便性が向上した一方、路線によっては本数が少なく時間帯によって使いづらい面もあります。

路線バスの減便状況

立川市地域公共交通計画(令和8〜12年度)によると、バス運転手数は全国的に平成29〜令和4年の5年間で約20%減少しています。立川市内でも以下のエリアで減便率が大きくなっています。

  • 富士見町北部(立川崖線以北・奥多摩街道沿い)

  • 錦町周辺(南北方向)

  • 西砂町・一番町

  • 市北部の東西方向路線

交通不便地域(バス停・駅から300m圏外かつ1時間1本未満の地域)は、市域面積の約28%を占めており、砂川町・柏町・富士見町に広範囲に分布しています。

3.立川市内の移動課題——地区別の声と数字

令和6年に行われた市民ワークショップ(延べ119人参加)では、地区ごとに異なる移動課題の声が集まりました。

富士見町(崖線上 4・5丁目周辺)

「崖線下は路線バスの本数が多いが、崖線上はここ数年で急激に減便が進んだ(奥多摩街道)。スーパーもなく、移動手段を持たない高齢者はネットスーパーを使っている。外出が減っている。」

錦町

「京王バス(立65・66系統)の大幅減便で、立川駅北口への買い物・通院が不便になった。バス停まで歩けない人はタクシーを使っている(通院でのタクシー利用が増加)。くるりんバスが唯一の公共交通手段になっている沿線住民もいる。」

砂川町

「東西方向の公共交通が乏しい。スーパーがなく、高齢者は買い物に不便を感じている。近所の人に送迎を頼んでいる人もいる。」

西砂町・一番町

「交通手段が理由で外出をあきらめた」と回答した割合が、市内5地域の中で最も高い水準。

高齢化率のデータも裏付けています。上砂町・一番町など西武線沿線や富士見町の一部では高齢化率30%超。市全体の高齢化率は現在約24.9%ですが、令和17年(2035年)には約27.9%に達する見込みです。80歳以上の市民の約78%が自動車免許を保有していない現実を踏まえると、「車なしで暮らせる移動環境」の重要性は今後さらに高まります。

4.医療従事者による介護タクシーが不足している:立川市特有の転院搬送の課題

立川市には国立病院機構 災害医療センター、立川相互病院、共済立川病院など、多摩地域の救急医療を担う病院が集中しています。

救急隊員として19年働いた私が立川市内に出動した際、これらの病院に何度も搬送先として選ばれてきました。

救急病院では、急性期治療が一段落すると「後方病院への転院」が発生します。

病床の有効活用と患者さんの回復段階に合わせた医療提供のために、医療的に一定の管理が必要な状態であっても転院搬送が行われる場面が少なくありません。

酸素投与を継続中の方、SpO2(血中酸素飽和度)の管理が必要な方、経管栄養中の方などが、そのまま一般の介護タクシーに乗ることになるケースもあります。

こうした搬送で本当に必要なのは、状態変化を読める目を持った搬送者です。

看護師や救急救命士など医療従事者が運営する介護タクシー・民間救急は、立川市内にも複数の事業者がいますが、数はまだ少ない。

搬送を受け入れられる事業者の不足は、病院側にとっても患者家族にとっても、見えにくいけれど切実な課題だと感じています。

「ちゃんとした状態で転院先に届けてほしい」——そのご家族の想いを受け止めるために、私たちは資格と経験を活かした搬送を続けています。

5. 共済立川病院からの転院搬送——ある夜の出来事

共済立川病院から別の医療機関へ転院搬送のご依頼をいただいたときのことです。患者様は70代の男性で、酸素投与が必要な状態。娘様が付き添われる予定でした。

病棟にお迎えに伺ったとき、すれ違いがありました。

病院側・患者様・私たちのどこかが悪かったというわけではありませんでしたが、結果として接触が10分遅れてしまいました。

不安と緊張が高まっている中での搬送という場面で、このタイムラグが娘様の不信感につながってしまいました。

接触した瞬間から、娘様の表情に「本当にこの人たちに任せて大丈夫なのか」という気持ちが見えました。まず、その場でお詫びを伝えました。

搬送を始めてからは、すべてが患者様ファーストでした。

リクライニング車椅子に乗っていただき、膝掛けで保温しながら出発。私はパルスオキシメーターとスマホのSpO2観察アプリで数値を随時確認しながら走行しました。

搬送途中、患者様のSpO2値の変動に合わせて、娘様に酸素ボンベの流量を一緒に調節していただきました。

「こうすれば良くなりますよ」と娘様に伝えながら、お父様の状態を2人で見守る時間が続きました。

転院先に到着した頃には、患者様の状態は安定し、娘様の表情もほぐれていました。

「ありがとうございました。最初は心配でしたが、安心してお任せできました」

と深く頭を下げてくださいました。

この搬送で改めて痛感しました。

介護タクシーは、ただ人を運ぶ乗り物ではない。娘様がお父様に持っている想い、「安全に届けてほしい」「不安な時間を少しでも減らしてほしい」という気持ち、そのすべてを私たちは一緒に背負っているのだと。

介護タクシーは人の想いを背負っている。 それを言葉で知ったのではなく、あの搬送で体で理解しました。

6.介護保険と民間サービスの使い分け(要点のみ)

介護保険タクシー(通院等乗降介助)は、要介護1〜5の認定を受けており、ケアプランに位置づけられた通院・行政手続きの目的に限り使えます。冠婚葬祭・旅行・買い物など対象外の外出や、ストレッチャーが必要な移送は、自費の介護タクシーが選択肢になります。

詳しくは→ 介護保険で介護タクシーは使える?利用条件と注意点

7.救急車を呼ぶべきか迷ったとき(要点のみ)

意識がない・呼吸が苦しい・突然の激しい頭痛や胸痛・大量出血など、一刻を争う症状は迷わず119番。緊急性はないが一般タクシーでの移動が難しい場合(退院・転院・酸素管理が必要な通院など)は、民間救急または医療従事者が運営する介護タクシーが選択肢になります。東京都では#7119(救急安心センター、24時間対応)に相談することもできます。

詳しくは→ 救急車を呼ぶべき?民間救急・介護タクシーとの違い

8.まとめ:立川市の移動資源を組み合わせる

立川市の移動支援を整理すると、次のようになります。

状況 活用できる手段
重度障害・月の助成を使いたい タクシー・ガソリン費助成(月最大3,500円)
障害のある方の社会参加・外出 移動支援事業(個別支援型30分1,150円・自己負担10%)
日常的な近距離移動 くるりんバス(90円・障害者手帳所持者は半額)
要介護認定後の定期通院 介護保険タクシー(ケアマネに相談)
退院・転院・酸素管理が必要な搬送 医療従事者が運営する介護タクシー・民間救急
緊急性がないが介助が必要な外出全般 自費介護タクシー

繁華街の賑わいとは裏腹に、富士見町の崖線上・砂川町・錦町では、路線バスの減便によって移動が困難になっている現実があります。

「立川なら交通が便利なはず」という先入観は、自動車に乗れない高齢者や障害のある方の現実とはズレていることがあります。

ご家族の状態、外出の目的、利用できる制度を一つひとつ確認した上で、立川市の移動資源を上手に活かしてください。

不明な点は、立川市障害福祉課(市役所1階)や担当のケアマネジャーに相談するのが最も確実です。

介護タクシーはばたき

東京都日の出町 / 代表:仲田泰明(救急救命士・元救急隊員19年)

救急車を呼ぶほどではないが、状態が気になる搬送、退院・転院時の移送、酸素投与中の通院送迎など、お気軽にご相談ください。

参考文献・参考サイト

はばたきに相談する

080-5293-9296

24時間受付・年中無休

LINEで予約する
電話で予約 LINEで予約